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月の友 ドクターDの健康コラム 11

2015.05.12

 

噛ミング30

 

8020という言葉、ご存じの方は多いかと思います。
平成元年に提唱された「8020運動」は、

国民の歯の健康づくりを推進する観点から、

国による様々な対策が展開されました。
80歳で20本の歯を残す事を目標にして、

生涯自分の歯で美味しく食べることを目指したものです。
この結果めざましい成果が得られ、

昭和62年に7.0%だった8020達成者率が

平成17年には24.1%まで上昇しているのです。

(歯科疾患実態調査)

 

さて、歯を大事にすることを学んだら、

次は噛むことの効能を知りましょう。
ということで、提唱されたもうひとつキャッチフレーズが、

平成21年に発表された
噛ミング30(カミングサンマル)です。
より健康な生活を目指すという観点から、

ひとくち30回以上噛むことを目標にしようということです。
毎回必ず30回以上噛むことを念頭に、少しでも多く噛みましょう。

食事はやわらかいものより、少しでも噛みごたえのあるものを選びましょう。

 

という毎日を心がけることでどのような良いことがあるのでしょうか?

 

噛むことを咀嚼(そしゃく)と言いますが、

これは食物を噛み砕き、唾液を混ぜて

飲み込むことに適した状態にすることです。

私たちの身体が栄養素を体内に摂りこむ出発点として
とても大事な役割であることはご存知のとおりです。

 

しかしこれだけではなく、咀嚼はその他に生命の維持に

きわめて重要かつ広範な作用を持ちます。
咀嚼時に分泌されるだ液の様々な健康効果。
咀嚼によって引き起こされる消化促進や食欲調節。
口の中で感じられる感覚から得られるリラックス感や脳の活性化など、

驚くべき多様な効果が咀嚼にはあります。

 

こんなに大事な咀嚼ですが、

現代人は柔らかくて食べやすい食べ物を好むため、

どんどん咀嚼回数が減っていると言われます。
昨今よく耳にする「食育」という言葉も、
十分に口や歯を使って食事をすることの重要性を説くことで、

食べ物をろくに噛まずにジュースなどで流し込むことの多い

子供たちの咀嚼回数を増やし、

子供の頃からの健康生活を推進しようという狙いがあります。

 

中高年、高齢者が一生懸命に噛むことで

前述したような様々な健康効果が得られるわけですが

特に最近何かと話題になる脳の活性化、若返りにも大いに関連があるのです。

研究では高齢者の認知機能の維持に咀嚼が有用である可能性が示されています。

 

さて、毎回30回噛むことを心がけることも大事ですが

高齢者の方でも苦なく咀嚼回数をアップさせる方法があります。

ガムです。
ガム咀嚼が食物咀嚼のかわりに役立つと考えられています。

加齢とともに体力や視力の低下が起こり、脳を活性化する

手を使った細かい作業ができにくくなり、

ロコモティブシンドロームで歩行が困難になっても、

自然かつ簡便に行え、きわめて有用性の高い運動が

咀嚼・ガム噛みなのです。

 

 

参考文献

 

歯科保健と食育の在り方に関する検討会報告書

「歯・口の健康と食育~噛ミング30(カミングサンマルを目指して~」

平成21年7月13日 厚生労働省

 

咬合・咀嚼が創る健康長寿   小林 義典

日補綴会誌Ann Jpn Prosthodont Soc 3 : 189-219,2011

 

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