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月の友のドクターDの健康コラム 12

2015.06.08

 

なぜオリゴ糖はビフィズス菌を増やすのか?

 

先日お客様より質問をいただきました。

「なぜ乳果オリゴ糖は悪玉菌のエサになりづらく、

身体に良いビフィズス菌を選択的にふやすことが

できるのですか?」

 

オリゴ糖のようなビフィズス菌のエサになり、

腸内細菌の改善を促す物質にプレバイオティクスという名称がつけられ、

歴史的にも有用性が証明され、数種類のオリゴ糖が

トクホの素材として認められています。
ビフィズス菌がエサとするとはすなわち「資化」、

材料をビフィズス菌が代謝して栄養成分を生成することです。

ビフィズス菌はオリゴ糖をエサにすることで増殖していくだけでなく、

代謝産物として乳酸や酢酸などの有機物を生成します。

これらが増えると腸内は酸性になり、

アルカリ性の環境を好む大腸菌やウェルシュ菌などの増殖を抑えます。

 

代謝するためには酵素が必要で、そういったものを持ち、

種々のオリゴ糖を分解して増殖することができるのが

ビフィズス菌の特徴なのです。

悪玉菌には酵素がないのでオリゴ糖を資化して増殖することができません。

 

ビフィズス菌のエサとして効率的に働き、増やす物質、

オリゴ糖のようなものをビフィズス菌増殖因子と言います。

 

母乳で育てられている乳児の腸内では

出生後一週間以内に急速にビフィズス菌が優勢となり、

腸内に占める菌の中での割合は99%にまで達するといいます。

母乳中にはビフィズス菌を選択的に増殖させる因子があることがわかったのです。

そしてこのことは乳児期の感染防御の点でも重要で、

健康維持に重要な貢献をしています。

 

この母乳によるビフィズス菌の増殖効果は

母乳に含まれるオリゴ糖にあると考えられ、

オリゴ糖はビフィズス菌を増やす糖として

大きな注目を集めるようになり、研究が進められました。

オリゴ糖とは単糖が複数結合したものを指し、

植物に入っていたり、発酵食品(みそ、醤油など)に入っていたり、

自然界に存在しているものです。

ビフィズス菌を増殖させることを目的として、

多くの種類のオリゴ糖が開発され、食品に添加されたりして実用化されています。

乳果オリゴ糖(乳糖果糖オリゴ糖)は乳糖と果糖を

酵素反応でつなげてオリゴ糖にしたもので、

ビフィズス菌増殖の能力があって、糖質としても美味しいのが特徴です。

 

ビフィズス菌を増やすことがいかに私たちの健康に寄与するか、

科学的に解明されつつあります。

プレバイオティクス「オリゴ糖」を賢く利用しましょう。

 

 

参考文献
ビフィズス菌の特異的糖資化機能の解明と利用
熊谷英彦 浦上財団研究報告書 Vol.7 (1999)

ビフィズス菌のヒトミルクオリゴ糖分解に関わるホスホリラーゼの結晶構造
日高將文ほか PF NEWS Vol.27 No.2 (2009)

人の健康は腸内細菌で決まる! 光岡知足 技術評論社

 

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